beefkosogod’s blog

ニコニコ動画について思っていることを書きます

ニコニコの利用状況データの推移をまとめた2022

ニコニコの利用状況データの推移をまとめた - 駄(ておりあ(@_theoria))
がとても良かったので自分も作りました!元ネタに感謝感謝!
記事の最後にcsvもあります。

ニコニコ動画の運営会社の社名について

2014年9月までは株式会社ドワンゴ、2014年10月に株式会社KADOKAWADWANGO、2015年10月にカドカワ株式会社、2019年7月に株式会社KADOKAWAへと社名が変わります。今回は基本「ドワンゴ」で表記します。
参考:ニコニコ動画とは(ニコニコ大百科 wikipedia ピクシブ百科事典)

データ参照元

基本的にKADOKAWAの決算資料ページを元に作成。データはgoogleスプレッドシートに手打ち。
決算説明資料|IR情報|KADOKAWAグループ ポータルサイト
ドワンゴの決算説明資料(IR資料)のリンクまとめ(2014年以前)

会員数

決算発表資料の推移で計算方法が変わっています
登録会員数とID発行数:おそらく違いはない
有効会員数:ID発行数から退会者数・不正ID数を除いた会員数
モバイル会員数:ガラケーニコニコ動画(docomoau)
重箱の隅を突くんですが、2013年第2四半期の時点で、登録会員数を利用した計算上では、当時の日本の20代人口よりニコニコ20代ユーザー数が上回ります(登録会員数3255万人、20代シェア41.7%より、人口1320万人(総務省統計2013年4月1日概算値)に対して約1357万ユーザー)。2022年第1四半期時点だと現在の日本の30代人口に対して有効会員数から計算したニコニコ30代ユーザー比が310.8%(日本の30代人口972万人中ニコニコユーザー3021万人)です。意味がわかりません。複垢が多いんでしょうか。
会員数から現在のニコニコの実体を推し量ることはできないように思われます。

会員数の推移

会員数(ニコニコユーザー数)を推計してみる

これの日本の人口推移と、これの"主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率"表(2014年調査開始)からニコニコユーザー数を推計します。
青線が「13歳~69歳までのニコニコ利用率を参考に、日本の総人口あたりのニコニコユーザー数へ、拡張して計算」したもの。赤線が「13歳~69歳までのニコニコ利用率を参考に、日本の10代~60代までのニコニコユーザー数を計算」を計算したものです。総務省データは13歳~69歳から集計しており、13歳未満、70歳以上のユーザー数は少ないはずなので、実際のニコニコユーザー数は青線と赤線の中間の、赤線寄りにいると思います。青線が2430万~1829万人、赤線が1815万~1358万人なので、2014年から2021年にかけて2000万~1500万で推移していると思われます。

ニコニコユーザー数(推計)

プレミアム会員数

2016年頃にピーク(256万人)を迎え、その後は減少が続いています。収支的には、プレミアム会員費以外の、チャンネル会員費の増収と経営努力により、利益が出ています。
わたし個人の推察ですが、2009年以降のプレミアム会員増加につながった要因としてはニコニコ生放送の躍進が挙げられます。一方、なぜプレミアム会員が2016年まで順調に伸び続けていたのかは不明です。2018年までさしてプレミアムメリットが拡充されていませんでした。現在はプレミアムメリットの項目が非常に多いです。
ニコニコ|プレミアム会員の特典について
なお2017年のniconico(く)サービス発表会の炎上以降、現在もプレミアム会員数は減少が続いています。

プレミアム会員数の推移

アクティブユーザー数

DAU(デイリーアクティブユーザー)

1日平均訪問者数、DAU(新ロジック)、ログインUU DAU、ログイン+非ログイン視聴UU(DAU)、Google AnalyticsによるUU DAUが公開されています。
新ロジックについては『従来の集計ツールでは新サービス/デバイスへの対応が不十分だったため、今回の開示より、新ツールでの集計を開始し、精度を改善』とのこと。2018年2月28日以降はPCでの動画視聴がログイン不要になりました。Google AnalyticによるUU数がカドカワ発表のログイン+非ログインUUの倍くらいあります。全体としてDAUは減少傾向です。

Daily Active Usersの推移

MAU(マンスリーアクティブユーザー)

MAU(旧ロジック)、MAU(新ロジック)、ログインUU MAU、ログイン+非ログインUU MAU、Google AnalyticsによるUU MAU数が公開されています。ログイン+非ログインUU MAUは微減の傾向です。

Monthly Active Usersの推移

10代MAU(マンスリーアクティブユーザー)

直接データがあるわけではなく、計算して算出しました。A="MAU(旧ロジック)"または"MAU(新ロジック)"、"ログインUU MAU"、"ログイン・非ログイン含むMAU" として、10代MAU=A×10代シェアで計算しています。減少が続いており、最新資料(2023年3月期 第1四半期)時点では"ログイン・非ログイン含むMAU"が76万人になっています。このペースのまま上向かなければ、2023年12月末には10代のログイン・非ログインのMAUが50万人を切る傾向になります。

10代MAUの推移

各世代ごとMAU(マンスリーアクティブユーザー)

A="MAU(旧ロジック)"または"MAU(新ロジック)"、"ログイン・非ログイン含むMAU"のいずれか最大値 として、各世代MAU=A×各世代シェアで計算が1枚目。B="MAU(旧ロジック)"または"MAU(新ロジック)"、"ログインUU MAU"のいずれか最小値 として、各世代MAU=B×各世代シェアで計算が2枚目。20代30代に比べて10代MAUが非常に低位に推移していることがわかります。なお2枚目の"ログインUU"プロットについては、2021年3月期を最後に公開されなくなりました。

各世代MAUの推移(MAU(旧)、MAU(新)、ログイン・非ログインUU MAUを合体)
各世代MAUの推移(MAU(旧)、MAU(新)、ログインUU MAUを合体)

年代別シェア

ドワンゴ発表版と総務省発表版があります。
ドワンゴ発表版:ニコニコユーザーの中での、各世代の内訳(数値を全部足すと100%)
総務省発表版:日本国民の中での、各世代ごとのニコニコ動画の利用状況。訪問留置調査。(情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査より)

年代別シェア(ドワンゴ発表版)

ニコニコユーザーの中での、各世代の内訳(数値を全部足すと100%)になります。1枚目と2枚目はグラフ表示形式が違うだけで、データは同じです。
(参考:大百科(ニコニコ動画)ページにも同じデータがあります)
10代ユーザーの割合が減って、30代ユーザーの割合が増えてます。

年代別シェア(積み上げ縦棒グラフ)
年代別シェア(折れ線グラフ)

なお、現在最新資料(2023年3月期 第3四半期)では10代利用率は4.4%です。この傾向が変わらない場合、2023年12月末集計で10代ユーザーの割合が4%を下回ります。

年代別シェア(2023年3月期 第3四半期決算説明資料)

年代別シェア(総務省発表版)

グラフは、日本国民の中での、各世代ごとのニコニコ動画の利用状況です。10代の項目は厳密には13~19歳とのこと。下記の集計時期は調査年のことで、発表は翌年の夏頃。
10代利用率が、2017年から横ばいやや下降気味だったのが、2021年で急激に減少しています。
20代利用率は、2020年まで減少傾向でしたが、2021年で少し持ち直しています。

ニコニコ動画の世代別利用率

なお、現在最新資料(令和3年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査)の表(pdf12p)では10代利用率が19.1%となっています。低い数値ではありますが、他世代の利用率と比べた場合、突出して低い数値ではありません。

主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率(総務省発表)

ドワンゴ発表版と総務省発表版の差異を考察

2つの発表の差異がなぜ出てくるのでしょうか。
考察してみましたが、結果、これといった結論は出ませんでした。原因の一つとして考えられる要素をここに書きます。
ドワンゴ版について、最近の新規ユーザーの多くが生年月日を申告していない可能性がある。
2019年07月25日以降、スマホのゲストログインが可能になったため、新規ユーザーが生年月日を設定していない可能性があります。また、数か月おきに行われるニコニコの満足度調査には生年月日の申告欄がないため、現在ドワンゴはニコニコの年代構成がうまく集計できてないかもしれません。つまり、以下の可能性があります。
ドワンゴ側のデータ集計が不正確かもしれない。
総務省のデータが正しいとも限らないので注意が必要です。体感なので恐縮ですが、総務省版の発表のほうが、twitterでの学生らしきユーザーの反応や動画内のコメントの雰囲気を見て、しっくりくる感覚があります。

総務省発表版についておまけ

総務省発表資料の内容が面白かったので共有します。(令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書,pdf14p,12p)
ニコニコ、Netflix、ABEMAが同程度の利用率ですね。youtubeの利用率は圧倒的です。またニコニコとABEMAは協業関係を結んでますが、利用率の数字もほぼ同じというのは意外でした。※ABEMAの2022年サッカーW杯中継はこの後。

主な動画共有・配信サービス等の利用率
主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率

男女比

男女比は平成20年中間期(2008年)~2020年通期まで公開されていました。ほぼ男:女=68:32くらいで推移しています。

男女比の推移

ニコニコチャンネル

全チャンネル数、月額有料チャンネル数、月額有料会員数が公開されています。月額有料会員数は2020年まで上昇、その後成長が頭打ちの状況です。プレミアム会員費の収入減少をチャンネル収入がカバーしていました。2023年3月期 第1四半期の発表では、"プレミアム会員減少による減収影響を、収益多様化(動画への「ギフト」、広告等)の取組みが抑制(pdf9p)"し、2023年3月期 第2四半期では"収益多様化(動画への「ギフト」、広告等)の取組みは好調に伸長"としています。ニコニコチャンネルも、収益多様化の施策の一つになります。

ニコニコチャンネルのチャンネル数・有効会員数の推移

まとめ

今回参照元に比べて10代利用率などを追加して載せてみました。
10代利用率について、ドワンゴ発表版の10代利用率4.5%が本当だとしたら危機的ではあるんですが、体感的には総務省発表(19.1%)のほうがしっくりきます。ですので世代の利用率についてはそんなには…危機感はありません。
それよりも、今回本文では紹介しませんでしたが、年別の再生数が落ち続けています(下図参照、勝手に使ってごめんね人)。

データで見るボイチェビのツイートより https://twitter.com/voiceceviodata/status/1611286448824524801

ユーザー定着率のデータは持ってませんが体感としてあまり状況が芳しくなく、定着率を上げる施策は絶対に必要です。
運営は施策として、Nicoboxアプリをボカコレアプリに名称変更(2022年9月下旬~)、クリエイターサポート(10月6日)、投稿者NG機能(9月26日~)、各種投稿祭開催と各施策は行ってはいますが、これがユーザー減少に歯止めがかかりユーザー増に繋がるかは、今後も注視する必要があります。

2023年2月1日追記:「(ドワンゴ発表版の)ユーザーに占める10代の割合4.5%と(総務省発表版の)10代の利用率19.1%を単純に比較している部分があり、おかしい」というご指摘をいただきました、まったくその通りだと思います。修正版を出したいのですがドワンゴ版の数値を元にした"利用者数"に関するグラフをどう作ればいいのか悩んじゃってちょっとまだ作れてないです。すいません。

CSV